TikTok とショート動画でテレプロンプターを使う
縦型の動画は寄りで、短くて、容赦がありません。そこから、原稿の置き場所、文字の大きさ、そして言葉の響き方について何が変わるのか。
縦型のショート動画は、書いたように聞こえる原稿を罰する
プロンプターはどの形式でも役に立ちます。縦型のショート動画では、もっと役に立ち、 もっと早くあなたを売ります。理由は 3 つあり、どれもこの形式の形から来ています。
画角が寄っています。人物の縦型の画はほとんど顔なので、16:9 の引きの画に比べて、目が 画面に占める割合がずっと大きくなります。トーキングヘッドのインタビューなら気づかれ ずに済む目線が、ここでははっきり見えます。
この形式は会話です。フィードの中でカメラに話しかける人は、テーブル越しにあなたに話 しかける人と同じことをしていますし、聞いている側は「これは自分に向けて読み上げられ ている」を 2 秒ほどで見抜きます。
そして立て直す余地がありません。30 秒の中に、遅い立ち上がりと、つっかえと、巻き返し は入りません。最初の 1 行で何かが崩れたら、それが動画のすべてです。
だからいちばん崩れやすいのは装置ではなく原稿のほうです。書き物が書かれるときの書か れ方——節があり、条件が付き、助走がある——で書かれた文が、そのどれも入る余地のない 形式へ、一定の速さで流れ込んでくるわけです。
スマートフォンがカメラのとき、原稿はどこへ行くか
スマートフォンで撮るなら、そのスマートフォンから読むことはできません。カメラの アプリが画面を握っています。残る組み方は 3 つで、違うのは主に、原稿とレンズのあいだ にどれだけの角度を受け入れるかです。
よくある答えは、レンズの横に置く 2 台めの端末です。プロンプターを動かすノートパソコ ン、タブレット、2 台めのスマートフォンを、撮影しているスマートフォンのカメラにでき るだけ近づけて停めます。効くのは距離ではなく角度です。ずれを、スマートフォンから 自分までの距離で割って 57 を掛ければ度数が出ます。だいたい 5 度を下回れば、誰も気に 留めません。レンズから 5 cm のところの 2 台めのスマートフォンを 60 cm から読むなら、 およそ 5 度です。同じ距離で 15 cm 横のノートパソコンならおよそ 14 度で、寄りの画では まぎれもなく分かります。
人が先に気づくのは横へのずれです。部屋にもう 1 人いるように見えるからです。角度を 受け入れざるをえないなら、横ではなくレンズの上で受け入れてください。
角度を縮めるいちばん安い方法は、下がって画角を寄せることです。同じ物理的なずれも、 遠くから見れば小さい角度になるので、60 cm ではなく 1.5 m に立てば、その 14 度はおよそ 6 度になります。たいていのスマートフォンには望遠のレンズがあるか、切り出せるだけの 解像度がありますし、縦型のショートは解像度が命の形式ではありません。
この取引には代償があり、それは音です。1.5 m 先のスマートフォンのマイクは、あなたと 一緒に部屋も拾いますし、ショート動画は長い動画よりずっと音を出して見られています。 目線を直すために下がるなら、カメラに写らない場所にマイクを置いて、そちらで録ってく ださい。シャツの襟の下に付けるクリップ式のマイクで足りますし、最初のひと山が反響 だらけで返ってきたときにやる撮り直しより安く済みます。
ハーフミラーは角度をまるごと取り除きます。レンズの前にガラスを置き、そこへ原稿を 反射させます。フードと三脚のある本物の装置で、たいていのショートの撮影に必要な以上 のものですが、寄りで撮って視線を保つなら、これを完全に解決する唯一のものです。部品 と合わせ方はハーフミラーでミラーモードを組む にあります。使わないならミラーはオフのままにしてください。直に読む画面の上の反転し た文字は、ただ裏返っているだけです。
細い画面から読むと、文字サイズの問題が変わる
何から読むにせよ、文字は一目で受け取れるだけ大きく、行は目線が目に見えて横に走らな いだけ短くなければなりません。
スマートフォンほどの読み用の画面では、この 2 つがぶつかります。1 メートル離れて読め る大きさにすると 1 行が 3、4 語になり、原稿は速い縦の流れになって、目線は絶えず下へ たどることになります。助けになるものが 2 つあります。読む端末を横向きにすること。 同じ大きさのまま、1 行の語数がおよそ倍になります。もうひとつは、手元でいちばん大きい 画面から読み、カメラを遠くに置くこと。読みやすさを失わずに文字サイズを下げられま す。
組む前に知っておく価値のある、配置の細かい話がひとつあります。読み位置ラインは ビューポートの真ん中にあるので、全画面のブラウザのウィンドウは、ラインをディスプレ イの真ん中に置きます。読む端末がカメラの下にあるなら、画面の上端に沿った低いウィン ドウのほうが、全画面よりずっとラインをレンズに近づけます。
ついでに、頭は画面の上半分に入れておいてください。プラットフォーム自身の表示、 キャプション、アカウント名、ボタンが下と右端を覆うので、それを見込まずに決めた画角 は、あごをアイコンの列の後ろに隠します。
速度と、ショート動画が速く回る理由
3 分の動画でどんな速さを使っていても、30 秒の動画ではもっと速い速さを使うことになり ます。この形式はすべてを圧縮しますし、あなたも例外ではありません。
その差を当てずっぽうで決めないでください。実際の原稿を、その作品が求める速さで声に 出して読み、時間を計り、語を数えて、その値を設定します。プロンプターの速度は 1 秒 あたりのピクセル数ではなく 1 分あたりの語数なので、たどり着いた数字は、試したスマー トフォンでも、来週の撮影で使うノートパソコンでも同じことを意味します。
速すぎる設定は、ショート動画に固有の壊れ方です。送りを追いかけ、話し方が平らにな り、平らな 30 秒には、動画を支えるものがほかに何も残っていません。
30 秒を書く
長さは計算です。1 分あたり 150 語なら、
- 15 秒はおよそ 38 語
- 30 秒はおよそ 75 語
- 45 秒はおよそ 113 語
- 60 秒はおよそ 150 語
75 語は 4 文か 5 文です。それが予算のすべてで、その中に、つかみと、ひとつの内容と、 見た人が持ち帰るものを収めなければなりません。あいさつも、チャンネルの紹介も、締め の決まり文句も入る余地がありません。「どうも、またこの時間です」は 6 語、30 秒の動画 の 8 パーセントで、しかも何も言っていません。
予算に収まる組み立て。
- 最初の 1 行が、見る人の言葉で、課題か主張を述べる。
- 真ん中はひとつの具体的なもの。数字、手順、あるいは前と後。
- 最後の 1 行が、持ち帰るもの。一度だけ言って、説明はしない。
そこで止めてください。ステージに貼り付けて、録る前に所要時間の見積もりを読ん でください。30 秒の予算で 40 秒になる原稿はどこかで切られますし、いま切るほうが編集 で切るより安く済みます。
あなたを売る言い回し
ショート向けの原稿は、たいてい長尺向けの原稿から真ん中を抜いたもので、ばれるところ はそこから来ます。
- 「今日は〜についてお話しします」は、10 分の形式から借りてきた構成の予告です。 代わりにその中身を言ってください。
- 「それでは早速いってみましょう」「前置きはこのへんにして」「最後まで見てくださいね」 は、どれも、あなたが持っていない長さへの橋渡しです。
- 「さっきも言ったとおり」は何も指していません。「さっき」がありません。
- 文を開いたまま抱えさせる従属節の付いたもの全部。画面に親指を置いている聞き手は、 片づくのを待ってくれません。
この問題のもっと広い版と、その直し方の一式は 耳のために原稿を書くにあります。短くまとめると、 1 文にひとつの内容、主語は前、数字は丸める、話し言葉の縮んだ形を入れる。
キャプションも書く価値があります。音を消して見ている人が読むのは自動のキャプション で、それは珍しい固有名詞や速い数字を壊します。認識器が語を取り違えそうなら、ゆっく り言うか、別の語を使ってください。音を出さずに見ている人にとって、キャプションが 本文だからです。
まとめ撮りの段取り
ショート動画はまとめて作りますし、まとめて作るときにこそ小さな摩擦が積み上がりま す。
前の原稿の上に貼り付けるのではなく、原稿は 1 本ずつ分けておいてください。ステージは 複数の原稿を並べて持てるので、5 本のショートは、上書きし続ける 1 つの枠ではなく、 行き来する 5 本の原稿にできます。「先頭に戻す」は、しくじったテイクの後にいまの原稿 を頭へ戻します。たいていのテイクがそうなります。
3 秒のカウントダウンは、読む端末に手が届かないあいだはオンのままにしておく価値があ ります。再生を押して画角に戻るのに要る時間だからです。押してすぐ話せるくらい近くに いるなら、オフにしてください。40 回 3 秒待つのは、それ自体がひとつの税です。
このツールがやらないこと
撮影の段取りを組む前に、はっきりさせておく価値のある制限が 2 つあります。
録画はありません。プロンプターは原稿をスクロールさせ、映像はスマートフォンかカメラ が録ります。ブラウザ用のテレプロンプターには録画するものもありますが、これはしませ ん。
スマートフォンからのリモート操作もありません。再生も一時停止も速度も、原稿を映して いる端末の上で変えます。だからカウントダウンと、読む端末への手の届き方は、テイクの 最中ではなく組んでいるあいだに考えておく価値があります。
それ以外、速度、文字サイズ、色、カウントダウン、ミラーは、ステージの下端の 操作バーにありますし、使うのにインストールも登録も要りません。