ハーフミラーでミラーモードを組む
ガラスとカメラと画面がどう置かれるのか、なぜ文字を反転させなければならないのか、そしてそもそも装置が要るかどうかの見分け方。
ガラスがやっていること
ハーフミラー(ビームスプリッター)は、光を一部だけ反射するガラスの板です。当たった 光は分かれ、いくらかは通り抜け、残りは跳ね返ります。仕掛けはそれだけで、 プロンプターの装置のそれ以外はすべて、その板を正しい角度で保ち、余計な光を入れない ためにあります。
組み方はいつも同じです。カメラはガラスの後ろにいて、ガラス越しにあなたを見ます。 ガラスはレンズに対して 45 度です。画面はガラスの下に画面を上にして平らに寝るか、 ときにはガラスの上に画面を下にして吊られ、ガラスがその画面をあなたのほうへ反射させ ます。あなたには、原稿がレンズの上に浮かんでいるように見えます。カメラにはあなたが 見え、原稿は見えません。画面はカメラに対して真横を向いていますし、フードが残りの光 を締め出しているからです。
結果として、目線の角度はゼロ度になります。文字を見ていれば、レンズを見ていることに なります。ここへ到達できる組み方はほかにありません。装置なしの組み方はどれも、どこ まで小さな角度で我慢できるかの話です。
なぜ文字を反転させなければならないのか
反射は左右を入れ替えます。紙に鏡を向ければ、文字は裏返って返ってきます。だから画面 はあらかじめ反転した原稿を出さなければならず、反射がそれを読める文字に戻します。 ミラーモードとはそれです。原稿の水平方向の反転で、ガラスの中で読む文面が正しい向き になります。
反転するのは水平の軸だけです。上下は変わりません。だから反転した原稿も、ガラスが
ないときとまったく同じように読み位置ラインの前を上へ流れますし、オンにしても速度も
読み位置ラインも何ひとつ変わりません。M で切り替えられますし、コントロールそのもの
はミラーモードのページが扱っています。
装置の後ろに立つ前に知っておく価値のある結果がひとつあります。反転がかかるのは原稿 であって、ステージ全体ではありません。反射の中では、原稿は正しく読め、下に並ぶ コントロールは裏返って読めます。立ち位置へ歩いていく前に、すべて設定しておいてくだ さい。
ガラス越しに撮るのでなければ、ミラーはオフのままにしてください。直に読んでいる画面 の上の反転した文字は、ただの反転した文字です。
部品と、それぞれの役目
ガラスはハーフミラーとして売られていて、たいてい分光比で表されます。70/30 や 60/40 は、カメラへ通す割合と、あなたへ反射する割合のパーセントです。家庭用の鏡は代わりに なりません。理由は単純で、鏡は光を通さないからです。カメラには何も見えません。
枠はガラスを 45 度に保ち、ぶつかってもその角度を保ちます。この角度は見た目よりも うるさいです。
フードは、枠からカメラまでをつなぐ光を通さない箱です。これがないと、装置の後ろや 上からの光がガラスとレンズに届き、画面全体に乳白色のベールがかかり、そこにあなたの 部屋が映り込みます。フードは付属品ではありません。使える画と、かすんだ画の分かれ目 です。
レンズはフードの開口から突き出します。この開口は、前玉に触れないだけの大きさが要り ますし、レンズフードを使っているならそれにも触れない大きさが要ります。さもないと 画面の四隅が暗くなります。周辺が落ちるのは広角のレンズです。
三脚は、雲台より前に重心が出る装置を支えることになるので、軽い三脚は長いテイクの あいだにじりじり下がります。すべて締め直して、5 分後にもう一度画角を確かめてくださ い。
画面はタブレット、スマートフォン、または小さなモニターで、ガラスの下に平らに寝て、 レンズの軸の上に中心を合わせます。ブラウザが動くものなら何でも構いません。
角度は倍になるので、45 度は慎重に
鏡を 1 度回すと、映る像は 2 度動きます。これは反射の性質で、ガラスの角度が装置の中で いちばんうるさい部分である理由です。
ガラスが 45 度から 2 度ずれると、原稿の見かけの位置は 4 度か 5 度ずれます。ページの上 のほうを視界の外へ押し出したり、全体を傾けて読み位置ラインをレンズの高さから外した りするには十分な量です。とっさに画面を動かして直したくなります。やめてください。 ガラスを直してから、その下で画面の中心を取り直します。
ガラスが決まったら、画面はレンズの軸に対して正対し、その軸の上に中心が来ているのが 望ましい状態です。原稿が片側に寄って見えるなら、ずれたのはガラスではなく画面です。
距離について誰もがやる間違い
原稿は、画面のある場所には現れません。光の道のりの合計、つまりあなたからガラスまで の距離に、ガラスから画面までの距離を足した位置に現れます。
装置から 1.5 m のところに立ち、画面がガラスの 25 cm 下にあれば、文字は 1.75 m 先にある ように読めます。タブレットの上に立って、腕を伸ばした距離で文字サイズを決めれば、 立ち位置へ歩いた瞬間に小さすぎることになります。
だから、サイズは立ち位置から決めてください。つまり 2、3 回往復するか、誰かに機械の そばにいてもらうことになります。装置を使う最初の日が投げ出されるいちばんよくある 原因ですし、それが原因だと分かってしまえば直すのに 90 秒しかかかりません。
同じ計算が、必要なもうひとつのことも教えてくれます。画面がガラスのどれだけを覆わな ければならないか、です。反射は、1 行がまるごと見えるだけの範囲を、レンズの周りの 視界の中に埋めなければなりません。小さなガラスの下の大きなモニターは、その真ん中し か見せてくれません。
光。失うものと、上げるもの
70/30 のハーフミラーは、光の 70 パーセントをセンサーへ送ります。だいたい 2 分の 1 段 です。60/40 なら 4 分の 3 段弱です。どちらも大きくはありませんが、どちらも本物です し、露出がもともとぎりぎりだったなら気づきます。
分けられたもう一方が、あなたが読むぶんです。70/30 なら、跳ね返ってくる 30 パーセント を読んでいるので、画面は机の前で設定するどんな明るさよりも明るくなければなりませ ん。立ち位置から文字が楽に読めるところまで上げて、そこで止めてください。それより 明るい画面は、あなたの顔に光を投げ返し始めます。色かぶりでもあり、ばれるもとでも あります。
文字色と背景色のコントロールが役目を果たすのはここです。ガラスの後ろでは、黒地に白 文字が正しい配色です。画面の黒い部分はベールに何も足さず、文字だけが反射します。 白地に黒文字は、画面をレンズに向けたライトボックスに変えますし、どれだけ良いフード を使っていても画をかすませます。
ここは画面の種類でも変わります。液晶の黒は、光がないのではなくバックライトが漏れて いるものなので、液晶のタブレットは有機 EL よりかすみます。液晶を使っているなら、 フードの仕事が増えているので、その密閉具合を確かめる価値があります。
二重像と、その原因
文字のかすかな 2 つめの複製が少しずれて見えるなら、それは第二面の反射です。ガラスの 表面だけでなく裏面でも光が跳ね返っています。減らす方法は 2 つあります。薄いガラスは 2 つの複製を近づけ、やがて重ねてしまいます。片面のコーティングは、2 つめの反射をほぼ 完全に抑えます。
ガラスに印の付いた面やコーティングされた面があるなら、メーカーの言うとおりの向きに してください。向きを逆にするのは二重像のよくある原因ですし、疑いさえすれば 30 秒で 直ります。
安い装置が二重像を出すとき、たいていの犯人は厚いアクリルです。額縁屋のガラス板が 安物買いの銭失いになる理由でもあります。
そもそも必要ですか
カメラに向かって読むたいていの人には必要ありませんし、誰かがガラスを買う前に、それ は正直に言っておく価値があります。
装置の代わりになるのは、小さな角度を受け入れることです。1.2 m のところのノートパソコ ンで、読み位置ラインがレンズの 8 cm 下なら、およそ 4 度で、ほとんど誰も気づきません。 ウェブカメラでの通話、数文ごとにカットの入るトーキングヘッド、手持ちで撮る縦型の ショート。どれもハーフミラーは要りませんし、組む時間のほうが見返りより高くつきま す。
装置が元を取るのは、もっと狭い場面です。目が画面の大きな部分を占める寄りの画角。 目線のずれを隠すカットのない、長い切れ目のないテイク。言葉が正確でなければならず、 つっかえをその場のごまかしで通り抜けられない読み。オペレーターの付いたきちんとした カメラで撮るもの全般。そこではもう組む時間が支払われています。
自分の仕事がこの一覧にないなら、安い直し方は幾何です。カメラから離れて座り、画角を 寄せ、読み位置ラインを画面が許す限りレンズの近くに置いてください。
うまくいく合わせ込みの順序
- カメラを三脚に載せ、水平を出し、装置なしで立ち位置に画角を合わせる。
- 装置を付け、レンズをフードの開口に通し、フードを枠に密着させる。
- ガラスを 45 度に、コーティング面は印のとおりの向きに。
- 画面をガラスの下に、画面を上にして、レンズの軸の上に中心を合わせて置く。
- 原稿をステージに貼り付け、ミラーをオンにし、ブラウザの枠が反射に入らない よう全画面にして、黒地に白文字、明るさを上げる。
- 立ち位置まで歩いて、いちばん上の行を読む。読めないならサイズが違います。戻って、 タブレットまでではなく光の道のり全体に合わせて設定し直してください。
- カメラのモニターを見る。ベール、ガラスに映った部屋、そして画角に入っている装置の 一部がないか確かめてください。
- 読み位置ラインがレンズの高さに来ているか確かめる。装置の目的はまるごとそれです し、人が飛ばす手順でもあります。
3 秒のカウントダウンはオンのままにしておいてください。装置を使うときは機械に手が 届かないのがふつうですし、3 秒は再生を押して立ち位置に戻るのに要る時間です。この版に スマートフォンからのリモート操作はないので、再生も一時停止も速度も、原稿を映して いる端末の上で変えます。
テイクの途中で機械に手を伸ばすことが問題なら、もうひとつの答えが音声追従です。 読んでいるあいだ耳を澄ませて原稿を合わせて動かすので、長いテイクが、歩き去る前に 設定した速さに縛られずに済みます。音声がどこへ行くかはブラウザによりますし、どの ブラウザがどちら側にいるかは音声追従のページに書いてあります。